従業員は仕事に何を求めているでしょうか。いつしか終身雇用制は崩壊し、従業員が企業を選ぶ側の時代となりました。仕事に対する価値観は従来と大きく変化し、将来への期待が薄れ、出世意欲の低い若者も増えています。手に職をつけ、いつ辞めても良いと考える若者も増えています。
このような中、従業員が企業に期待する側面にも変化が生まれています。すなわち、「あらゆる面で自分を守って欲しい」という期待が大きくなっています。職場に守られ感(家庭的要素)を求めているとも言えます(令和5年版 労働経済白書(2023年公表))。
従業員にとっては①お金に困らないこと(生活影響)、②プレッシャーを感じないこと(心理影響)、③自分時間を持てること(生活影響)、④健康に過ごせること(健康影響)、⑤風通しが良い事(心理影響)がより重要になっているのです。これを裏付けるように、従業員の離職理由として①労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった(28.5%)、②人間関係がうまく行かなかった(26.4%)、③賃金の条件が良くなかった(21.8%)、④仕事が自分に合わない(21.7%)、⑤ノルマや責任が重すぎた(15.2%)などが挙げられています(令和5年 雇用動向調査(厚生労働省))。
マズローの欲求五段階説では、人間の欲求を五段階に分類しています。低次のものから①生理的欲求、②安全の欲求、③所属と愛の欲求、④承認の欲求、⑤自己実現の欲求 の5つです。私達は低次の欲求が満たされると、その次の欲求を満たそうとします。実は、②安全の欲求(お金・自分時間・プレッシャー)、③所属と愛の欲求(居心地・安心感・守られ感)といった低次の欲求が満たされないことが離職原因の大半であることが判ります。