品質トラブルは、いくら仕組みを十分に整備出来ていても、100%防ぐことは困難です。なぜなら、仕組みを守るのは人だからです。人は気持ちを持つ生き物です。
仕組みをしっかりと守ろうと思わなければ、どのような仕組みがあっても機能しなくなってしまいます。
例えば、製品の品質確認のために50項目のチェックシートを作成したとします。従業員は最初は1つ1つの内容を確認するかもしれませんが、次第にチェック疎かになり守らなくなる場合があります。
これは、チェック項目の意味合いや妥当性に意味を感じられないためで、「こんなに確認する必要はない」と解釈が生まれます。その解釈が人の行動を変化させてしまいます。
従業員が仕組みを正しく守るためには、品質第一という意識、すなわち品質マインド醸成が必要となります。これには、3つの大切な要素があります。
1つ目は仕組みを守ることの「重要性の理解」です。仕組みは何のためにあるのか、守らないとどうなるのか。従業員自身にどのような影響を及ぼすのかの理解となります。
2つ目は、仕組みを守りたいという「想いの醸成」です。会社の目指すべき方針や方向性と従業員の気持ちのベクトル合わせが重要です。会社の方針を従業員1人1人に腹落ちすることです。
3つ目は仕組みを守るための「仕事の基本」の理解です。人は気持ちに余裕がなくなると、ルールを見落としたり省略する場合があります。
従業員が仕事の基本を理解し、気持ちにゆとりを持って業務に取り組むことが大切になります。
このように、品質マインドの醸成は従業員の勝手な解釈を防止し、仕組みをしっかりと機能させる上で重要な要素となります。