新たなトラブルを無くすためのリスク抽出の仕組み

新たな品質トラブルが何故発生してしまうのか。その理由は「品質リスクの見逃し」にあります。
品質リスクはどのように捉えられるのか。それがリスク抽出の仕組みとなります。

新たなトラブルの多くは、4M(人・設備・方法・材料)の変更点や環境面の変化点(温度・湿度など)が加わった際に発生します。
変更点や変化点が製品品質にどのような影響を及ぼすのかを事前に検討し、備えることが出来れば新たなトラブルを未然に防ぐことができます。

例えば、パッキンの材質をシリコーン製からテフロン製に変えるケースを考えます。パッキンはシール性がもちろん大切ですが、他にも気にする必要があります。
双方の材質の違いから、摺動部に使用しても良いか(耐摩耗性)、熱源に近いところに使用しても良いか(耐熱性)、設備洗浄に使う薬剤で劣化しないか(耐薬品性)などを1つ1つ確認します。
そして、リスクが見つかった場合には変更を中止し、リスクが懸念される場合には点検・交換周期を短くするなどの対応を事前に検討します。
これがリスク抽出の仕組みです。

人においては従業員や協力会社(アウトソース)が作業に必要なスキルを持っているか(スキル評価)、材料においては原料や包材の供給元(サプライヤー)が
品質管理やコミュニケーションを含めてしっかりと力量を持っているか(力量評価)を定期的に確認することが重要となります。
これらは一例となりますが、新たなトラブルは仕組みで未然防止することが可能です。

生産工程の品質リスクを上流から下流まで網羅的に点検(総点検)して対策することも、品質トラブルを未然防止するために非常に有効な手段です。

再発トラブルを無くすための再発防止の仕組み

トラブルが何故再発してしまうのか。その理由の1つは「本質的な原因の見逃し」にあります。つまり、原因究明のための調査が不十分で、本当の原因を見逃してしまったことにあります。

「本質的な原因」にアプローチするためには、事実関係を1つ1つ確認し、情報を整理する必要があります。事実関係の確認は、頭だけで考えてもうまく行きません。
つまり、現場・現物での確認が極めて重要となります。現場はウソをつきません。トラブルの原因は全て現場にあるのです。この確認こそが、現状把握スキルとなります。
現状把握スキルを身に付けることで、本質的な原因へのアプローチが可能となります。現状把握の結果をもとに原理原則に基づいて仮説を立て、それを現場で検証すること。
この仮説検証スキルもトラブルの真因にアプローチするために必要となります。

2つ目の理由は「対策方法の間違い」にあります。対策を検討する段階においては、期待効果、コスト、納期などを総合的に考え最も有効な方法を選択します。
この選択を間違えてしまうと、トラブルが再発してしまいます。トラブルの本質的な原因をつかみ、最も有効な対策をうつこと。これらを仕組みに落とし込むことが重要となります。
上記のPDCAを回すには、従業員の課題解決スキルを向上させることも大切になります。

品質マインド醸成のための人材育成

品質トラブルは、いくら仕組みを十分に整備出来ていても、100%防ぐことは困難です。なぜなら、仕組みを守るのは人だからです。人は気持ちを持つ生き物です。
仕組みをしっかりと守ろうと思わなければ、どのような仕組みがあっても機能しなくなってしまいます。

例えば、製品の品質確認のために50項目のチェックシートを作成したとします。従業員は最初は1つ1つの内容を確認するかもしれませんが、次第にチェック疎かになり守らなくなる場合があります。
これは、チェック項目の意味合いや妥当性に意味を感じられないためで、「こんなに確認する必要はない」と解釈が生まれます。その解釈が人の行動を変化させてしまいます。

従業員が仕組みを正しく守るためには、品質第一という意識、すなわち品質マインド醸成が必要となります。これには、3つの大切な要素があります。

1つ目は仕組みを守ることの「重要性の理解」です。仕組みは何のためにあるのか、守らないとどうなるのか。従業員自身にどのような影響を及ぼすのかの理解となります。
2つ目は、仕組みを守りたいという「想いの醸成」です。会社の目指すべき方針や方向性と従業員の気持ちのベクトル合わせが重要です。会社の方針を従業員1人1人に腹落ちすることです。
3つ目は仕組みを守るための「仕事の基本」の理解です。人は気持ちに余裕がなくなると、ルールを見落としたり省略する場合があります。
従業員が仕事の基本を理解し、気持ちにゆとりを持って業務に取り組むことが大切になります。

このように、品質マインドの醸成は従業員の勝手な解釈を防止し、仕組みをしっかりと機能させる上で重要な要素となります。

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