食品工場の事故は、設備や手順の問題として表に出ます。しかし現場に入ると、その手前に人の問題があることがほとんどです。人が辞める。教育が追いつかない。多能工が育たない。結果として、決められた手順が守られなくなる。そしてある日突然、一件の異物混入事故が取り返しのつかない結果となります。
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私がこのつながりを意識したのは、工場で最初に任された「食品分析体制の立て直し」の経験でした。分析機器は揃っていました。足りていなかったのは、人の側です。担当していた3名は、10年にわたる分析スキルの主導権争いで、ほとんど口をきいていませんでした。試薬を隠す、説明書の在り処を教えない。結果として根本原因は突き止められず、報告書も残らず、トラブルの記録は風化していきました。品質が守られていなかったのは、設備のせいではありませんでした。
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品質だけを見ていても、この連鎖は止まりません。人の側から手を入れる必要がある。だから労働衛生コンサルタントのを取りました。逆に、人の問題だけを見ても足りません。食品工場では、床が濡れて滑る、冷蔵室と加熱工程の温度差が大きい、白衣と手袋で体温が逃げにくい。こうした条件が、そのまま腰痛や熱中症の要因になります。そしてこれらは、食品を安全に作るために必要な条件でもあります。食品側を知らないと、現実的な対策になりません。だから、両方が必要でした。