従業員は所属する企業において安定した収入が得られ、プライベートな時間が確保され、健康で安心して過ごすことが出来る環境を求めています。

それが企業に対する居心地や守られ感に繋がっており、近年の若者が重視する企業選びの要件にもなっています。

マズローの欲求五段階説に当てはめると、②安全の欲求、②所属と愛の欲求 といった低次の欲求に相当し、従業員の定着にとって重要な要件と言えます。

食品安全健康経営からのアプローチにより、1人のコンサルタントがこれらを満足できることが、弊所の日本で唯一と言える強みです。

一方で、下記の7つの要素をしっかりと機能させることで、食品安全健康経営の力をさらに高めることができます。

それぞれの概要について順番に説明しますが、最も大切なメッセージは何事も自分事と考えて行動できる経営者と従業員であり続けることです。

食品の安全性を担保するのは、仕組みづくりも人材育成も大切ですが、1人1人が自分事として物事を捉え、行動することです。

また、健康に過ごすことができる労働環境は与えられるものでもありますが、自分たちで作り出すものでもあります。

これらハード面とソフト面の機能を最大化させる要素こそが、「従業員定着のための7つの力」です。

①統率力

「統率力」とは、「経営者が志を持って従業員をリードする力」です。

すなわち、「会社をこうして行くぞ!」という経営者の強い想いとメッセージであり、経営者が未来の在りたい姿を明確化にすることから始まります。

組織の成否は、ダニエル・キム教授が提唱する「組織の成功循環モデル」によって説明できます。

在りたい姿が明確であれば、メンバーの「思考の質」が前向きになり、主体的な「行動の質」へとつながります。

その結果、業績などの「結果の質」が向上し、メンバー間の信頼関係という「関係の質」が深まることで、さらなる「思考の質」の深化を促します。

反対に、在りたい姿が不明確なままでは、受動的で停滞したサイクルに陥ってしまいます。

この状態では、経営者は目先の利益や売上、コスト削減にのみ意識が向かいやすくなります。

その結果、顧客視点を失い、生産性のみを重視して安全や品質を軽視する、極めて危険な経営体質を招く恐れがあります。

したがって、経営者は未来への強い想いを持ち続け、ミッション、ビジョン、バリューを通じて組織の進むべき方向を指し示すこと

それにより、持続的な成長と健全な組織文化を構築していくことが求められます。

②団結力

「団結力」とは、「従業員が同じベクトルに向かって進む力」のことです。

この力を引き出すには、経営理念を社員一人ひとりが自分事として深く理解し、具体的な行動に繋げる必要があります。

自分事化をするのは難しいですが、経営者の想いをしっかりと理解し、自分自身の言葉に咀嚼することが重要です。

企業の大切にしている想い従業員1人1人が自分の言葉で表現できることが重要です。

それを実現している代表的な企業にザ・リッツ・カールトンディズニーが挙げられます。

ザ・リッツ・カールトンは、世界を代表するホテルチェーンですが、経営者の想いを従業員1人1人の具体的な行動指針、チームとしての行動指針、すなわち「クレド」に落とし込んでします。

クレドは毎日の朝礼などの場で唱和し、どんどん自分達のものになって行きます。

そして、各社員に1日2,000ドルの決裁権を委譲することで、個人の判断による「顧客感動サービス」を実現しているのです。

また、ディズニーでは仕事を「作業」と、ゲストに幸せを届ける「役割」に明確に分けて考えています。

日々の仕事をおこなうのは当たり前で、お客様を心から楽しんでもらう」というウォルトディズニーの仕事の哲学が従業員全員に浸透しているのです。

ミッション(役割)はすべてのゲストに幸せを提供すること(ギブ・ハピネス)であり、これが仕事と位置づけられています。

真の団結力とは、適切なマネジメントを通じて「自分たちはこう在りたい」という個人のエネルギーを同じベクトルに集約することです。

それが実現したとき、マニュアルを超えた自発的な行動と、組織としての大きな成果が生まれるのです。

③実行力

「実行力」とは、「行動により最大の成果を生み出す力」のことです。

従業員全員が「こうやって動こう!」と思い動くことが出来る力であり、その行動が目的意識を持ったもので、建設的に前に進むことが出来ているかが重要となります。

仕事を前進させるには、緊急性・重要性の2軸で考えたときにいかに緊急性が低く重要性の高い仕事に時間を使うことが出来るかが重要となります。

すなわち、第2領域の仕事にいかに時間を裂けるかがポイントとなります。

また、仕事をおこなう上では段取りもとても大切です。

「段取り8分仕事2分」という言葉があるように、仕事や作業において、事前準備をしっかりとしておけば、仕事の8割は完成していると言っても過言ではありません。

円滑な合意形成のための「根回し」なども、相手への配慮に基づくポジティブな段取り行動として、信頼関係の構築につながります。

仕事の質を向上させるには、常に相手の期待値を超えるアウトプットを出すことが必要です。

これには「できない理由」ではなく「できる方法」を考える習慣をつけ、物事をチャンスと捉えて挑戦する姿勢が不可欠となります。

取り返しのつかない失敗を避けつつ、恐れずにチャレンジすることが成長を促します。

仕事の取組み姿勢においては、挨拶や謙虚さといった基本を忘れてはなりません。

「他人は変えられないが自分は変えられる」という原則に基づき、不要なプライドを捨てて素直さを保つことが、個人の成長と組織の実行力を最大化させる鍵となります。

④骨組力

「骨組力」とは、「正しいものづくりに必要な仕組み力」のことです。

安全・安心な製品を安定して提供するためには、個人のスキルに頼るのではなく、正しい手順やルールを組織として確立することが不可欠です。

食品安全のベースとなるのがHACCP(ハサップ)です。

これは最終製品の検査に頼るのではなく、工程ごとに危害分析(HA)を行い、ものづくりの工程において絶対に逸脱することが許されない重要管理点(CCP)を定めて管理する手法です。

このプロセスを文書化・記録することで、製品の検査ではなくものづくりの工程で製品を保証するという考え方です。

また、ものづくりの基盤となるのが5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)です。

5Sの本質はただ綺麗にすることではありません。

整理は「いるもの」と「いらないもの」を分けること、整頓は「必要なもの」を「必要なとき」に「必要なだけ」取り出せる状態をつくることが本質的な意味合いです。

これが、作業効率の向上や異常への気づきの感度を高めることにつながります。

そして、正しい手順やルールを守ることができる文化のベースとなります。

個人の主観に頼らずに仕組みを持って行動することは、ヒューマンエラーの抑制にも有効です。

ハインリッヒの法則では、1件の重大な事故の背後には29の軽微な事故と300件の危険な状況(ヒヤリハット)があると言われています。

人が運用することを前提とした強固な「骨組力」があってこそ、揺るぎない品質と信頼を築くことができるのです。

⑤納得力

「納得力」とは、「仕組みの意味合いを理解して取り組む力」のことです。

すなわち、人が「しっかりルールを守ろう!」と思える理解度・腹落ち度という言葉に置き換えられます。

いくら仕組みがしっかり整備され必要なルールが文書化されていても、仕組みを守り行動するのは人であることを忘れてはなりません。

運用する「人」が納得していなければ、ルールは守られないものになってしまいます。

赤信号でも信号を渡ってしまった経験は誰しもあるかもしれません。

渡っても「大丈夫だろう思考」がルールを形骸化してしまった事例です。

「かもしれない思考」へ転換させるには、マニュアルによる作業手順の整備だけでなく、なぜそれが必要なのか、腹落ちした理由(Know-Why)が必要となります。

そしてその理由を従業員に腹落ちさせる必要があります。

「かもしれない思考」の定着には、危険予知トレーニング(KYT)が有効な場合があります。

これは、発生可能性のある危険(K)を予知(Y)するためのトレーニング(T)であり、労働安全の分野では広く定着しています。

安全も品質も考え方は同じであるため、KYTにより品質リスクの芽をつぶすトレーニングとなります。

不要なルールを減らし、複雑化を防ぐ配慮も納得力を高めるためには重要です。

OJTや専門知識の教育を通じた従業員のスキルアップも、組織全体の納得力を支える基盤となります。

このように、ルールで従業員を縛るのではなく、安全と信用を守るために「腹落ち」した仕組みにすることが非常に重要な要素となります。

⑥解決力

「解決力」とは、「問題を正しくとらえ、計画立てて解決する力」のことです。

すなわち、「こうやって解決しよう!」という提案をおこない、具体的に課題解決のためのステップを踏むことができる力です。

ものづくり現場においては、日常管理のSDCAを回す中で、想定していない問題に直面することがあります。

それを個別課題に落とし込み、PDCAを回して解決する力が重要になるのです。

解決のステップにおいて最も重要なのは現状把握です。

現状把握では「五ゲン主義(現場・現物・現実・原理・原則)」の徹底が極めて重要です。

先入観を捨てて五感やデータで事実を掴むことが求められます。

現状と理想のギャップである「問題」を明確にした上で、それを埋めるための具体的なタスクである「課題」に落とし込みます。

実行段階では、事実に基づいた「仮説」を立て、検証を通じて真の原因を特定します。

対策には応急対応と恒久対策があり、事案の重大性を見極めて選択します。

この一連のPDCAサイクルを高速で回し続けることが、課題解決の成否を分ける鍵となります。

五ゲン主義に基づく視点は、品質向上のみならず生産性の改善にも寄与します。

人や物の動きを観察し、ムリ・ムダ・ムラを排除(ECRS)することで業務を効率化し、より質の高い業務へのシフトが可能になります。

日常管理のSDCAに加え、改善のためのPDCAを積極的に回すことで、より強固なものづくり現場を実現することが出来ます。

⑦継続力

「継続力」とは、「より良い姿を目指して前に進み続ける力」です。

すなわち、「ずっと続けて行こう!」という力です。

ビジョン(在りたい姿)という理想の未来像を実現するためにたゆまず前進し続ける力は、ものづくり現場のレベルを底上げし続けるために不可欠です。

日常管理のSDCAと改善のためのPDCAを絶え間なく回す「継続的な力」が重要となります。

モノをつくる現場は、一日として同じ日はありません。

誤解を恐れずに言えば、工場での仕事はある意味、単純作業の繰り返しです。

ものづくりを長く継続するにはモチベーションの維持がとても重要で、そのためには目標設定とその実現による達成感が必要であることを意味しています。

前に進むためには「志」をしっかりと持ち、短期(6ヶ月〜1年)および長期(3〜5年)の目標を設定し、小さな成功体験を積み重ねることが、継続のための強力な武器となります。

7つの力と重ね合わせた際には、①統率力、②団結力、③実行力、④骨組力、⑤納得力、⑥解決力の価値を1つ1つ高める努力をしなければ、継続力を醸成することは難しいです。

強い箇所はさらに伸ばし、弱い箇所は徹底的に強化する努力を意味します。

具体的な手法としては、明確なゴール(G)を起点とする「G-PDCA」を回すことが重要です。

「どこへ向かうのか」という目的意識を常に持ち、ゴールに向かって着実にサイクルを回し続けることで、理想の未来を現実のものへと変えていくことができます。

PAGE TOP
MENU
お問合せ

TEL: 070-7666-4498

月 - 金 9:00 - 18:00(営業・セールス電話は固くお断り致します)