【展示会レポート】2026年7月 DX総合EXPO

今回は2026年7月に開催された「DX総合EXPO(@幕張メッセ)」で得られた情報について紹介したいと思います。DX総合EXPOでは「AIをいかに使うか」について、各企業がライバル企業との差別化を図り、他社にない特徴を判りやすく解説してくれました。残念ながら全てのブースのご紹介をすることはできませんが、いくつか印象的だった内容を紹介します。

人事労務管理システム(jinjer株式会社)

「正しい人事データを活用できる人事労務システム」が出展されていました。人事労務、勤怠管理、給与計算、経費、社会保険手続きなどの人事業務、人事評価などのタレントマネジメント業務「統合型データベース」で一元管理することで、実務担当者の定型業務を効率化するだけでなく、マネジャーや経営層の価値時間を生み出し、組織の意志決定スピードの向上にも寄与するシステムです。例えば、社員の資格がメンバーからマネジャーに代わると、その情報に基づいて人事労務に関する情報が全て自動で更新されるとのことでした。また、クラウド型の統合型データベースであるため、どこからでもアクセス可能というのも特徴でした。また、GoogleやSlack、Teamsなどのソフトウェアともアカウントで結びつけることができ、社員の退職にともないアカウントを自動削除できるなど、非常に使い勝手の良いシステムだと感じました。ブースでは「Talentio」という求人媒体・スプレッドシート・メールに分散していた採用業務を一括管理できるシステムの紹介もありました(jinjer企業サイト)。

展示会場におけるjinjer(ジンジャー)のブース。人事労務から勤怠・給与・タレントマネジメントまでのクラウドシステムを紹介するパネルと来場者の様子

展示会に出展されたjinjer(ジンジャー)のブース。「正しい人事データで、組織の勘を確信に変える。」を掲げ、人事労務やタレントマネジメントの一元化を提案。

社内規定作成ツール(株式会社Kitera)

「AIを活用した社内規定作成ツール」を展示していました。就業規則を例としてデモをして頂いた中で、Wordファイルをドラッグ&ドロップで「Kitera」ソフト内に導入。とてもシンプルで分かり易い画面の中で、文字入力や配置変換を楽におこなうことができるのが特徴的でした。また、就業規則に関係する様々な法改正を迅速にキャッチアップし、法令改正情報として表示されます。その上で、どの法令が就業規則のどの部分に紐づくのかを教えてくれます。また、AIが「この部分をこのように修正したら良い」というアドバイスもおこなってくれるため、担当者の力量に依存せずに作業がおこなえるメリットがあると感じました。製造業などでよく使われる手順書などの文書にはまだ対応していませんが、これから対応文書の幅も広げていく予定とのことでした(kitera企業サイト)。

展示会場におけるKiteRa(キテラ)のブース。「社内規程業務70%削減」や「属人化解消」「リスク管理」「工数削減」を掲げた社内規程DXクラウドの展示風景

展示会に出展されたKiteRa(キテラ)のブース。「社内規程業務70%削減」を掲げ、属人化解消や工数削減を実現する社内規程DXサービスを提案。

議事録作成ツール(アイ・ティー・エックス株式会社)

「会議データが組織の資産になる」というコンセプトのもと、「RIMO voice」という議事録作成ツールを展示していました。その場で実演して頂きましたが、日本語の読み取り精度の高さに驚きました。日本語データベースに基づき学習しているため、スピーディーかつ正確に読み取ることができるようです。また、音声データで読み取ったデータからAIが議事録を自動作成するだけでなく、蓄積した議事録データをもとに今後の実行計画を提案してくれる機能もありました。提案書のppt資料も自動作成してくれるなど、議事録作成を手段としてどのように活用するかを考え抜いたツールであると感じました。会議参加者で同じ画面を見ながら場の状況をシェアできるのも、ありそうでなかった機能だと思います。議事録の情報についてチャットで質問することができるのも、会議に参加できなかった人にとって有用な機能であると感じました(RIMO voice企業サイト)。

IT展示会に出展されたRIMOのブース。自社ナレッジを活用するAIエージェントによる業務自動化のデモや、Copilot活用に関するパネル掲示の様子。

展示会でAIエージェントソリューションを提案するRIMOのブース風景。「業務自動化」や「自社ナレッジ活用」をテーマに、多くの来場者がデモを体験した。

ノートパソコンに表示されたRIMOのAI議事録画面。「これまでの会議内容から、AIがお答えします」という検索プロンプトが表示されている様子

RIMOのAI議事録・ナレッジ検索画面。過去の会議内容や決定事項をAIに問いかけて即座に引き出すことができる。

データ解析ツール(株式会社NTTデータ ニューソン)

様々な展示がある中で、自身はデータ解析ツールにも興味があり、デモして頂きました。「Databricks」というAIデータ解析ソフトダッシュボードに自由にデータを並べるだけで、データの見せ方を変えることができ、PCの基本スキルがあれば誰でも視覚的に操作できる画面構成でした。また、ソフト内には「Genie」というAIが搭載されており、グラフにカーソルを合わせると質問することができます。例えば、「このグラフが意味することを教えて」など、これまでスキルを持った人が時間をかけて解析していたことを、瞬時に教えてくれました。測定したデータは活用されないまま蓄積するだけになりがちですが、データから何を読み取り活かしていくのかを考える上で素晴らしい機能と感じました。なお、ダッシュボードの作成は初期導入段階での設計開発支援があるそうです(NTTデータ 企業サイト

展示会場における株式会社NTTデータ先端技術のブース看板。AI人材育成やAIガバナンス、RAG精度改善、tsuzumi活用などAIソリューションの提供領域を一覧表示している様子

展示会に出展された株式会社NTTデータ先端技術のブース。生成AI活用からAIガバナンス、セキュリティまで幅広く網羅するソリューションを展開。

展示会場におけるDatabricksのデモ展示。画面上にAI-BI Sales & Marketing DashboardやDatabricksの全体図アーキテクチャが表示されている様子

NTT DATAブースにおけるDatabricksのデモ展示。AIを活用したダッシュボードやプラットフォームの構成。

面接サポートツール(株式会社People X)

人事社員の代わりにAIが面接をおこなってくれるというサービスでした。面接時間や質問項目ごとの時間設定、質問をどのくらい深掘りするかどうかの設定など、極め細やかに設計できるのが印象的でした。また、面接後には絶対評価でA、B、Cなどの判定が表示され、評価レポートも作成してくれます。オンライン面接での採用を想定しており、面接にかかる工数を大幅に削減これまでは履歴書でふるい落とされてしまった人材を面接することで、必要な人材を見逃さずにキャッチできる可能性が広がるとのこと。そのため、1次面接をAI面接、2次面接を人がおこなうなどの棲み分けを想定しているとのことでした。AIに面接されている感覚にも、練習により慣れが生まれるとのことでした(People X 企業サイト)。

Trade show booth for PeopleX with large purple banners about AI interviews; staff in matching purple shirts nearby.

展示会に出展されたPeopleXのブース。「対話型AI面接」や「AIロープレ」「AIスカウト代行」など、採用・人材育成を効率化する最新HRテックを提案。

AIソリューション開発支援(株式会社QuackShift)

東京大学の松尾研発のスタートアップ企業として、完全オーダーメイドのAIソリューションを開発・提供している企業。開業から約2年だが、大企業との取引実績も豊富で、AIの開発・導入において最も重要なPOCもしっかりと伴走支援しているとのこと。若手社員のスタートアップ企業ということで、とても勢いのある企業ですが、ブースでは皆が礼儀正しく、非常に好印象を持ちました。東京都千代田区にオフィスを構えているとのことで、今後注目したい企業の1つと感じました(QuackShift 企業サイト)。

展示会場における株式会社QuackShiftのブース。松尾研究所発の伴走型AIソリューション開発や、上場企業取引率50%、PoC成功率80%などの実績を示すパネル展示の様子

展示会に出展されたQuackShift(クワックシフト)のブース。松尾研究所発の技術力を強みに、伴走型のAIソリューション開発やPoC支援を提案。

AI導入支援(株式会社エス・エム・データテック)

AI導入・活用コンサルタントの活動についてご説明頂きました。「AIを導入して自動化したはずなのに仕事が楽にならない」など、現場ではよく起こりがちです。AIやRPA導入で予測しきれなかった事態への判断や、自動化のための調整などAIの導入がうまく機能しないケースを想定し、しっかりと活用するにはどうするかをコンサルティングされているとのことでした。AIは使い方次第で大変便利で人にはできないことを瞬時におこなうことができますが、いかに使いこなすか、使える環境をつくるかが大切と感じています。また、AIに偏った思考になると、現場・現実・現物といった当たり前を見失うリスクもあるかと思います。ブースではそんな話をしながら、大変丁寧にサービスについて教えていただきました(エス・エム・データテック 企業サイト

At a trade show booth, beige fabric banners display teal text reading 'AI × 自動化開発' with red vertical stamps saying '業務改善' and '効率化', and a teal wave pattern along the bottom.

展示会を訪問しての所感とまとめ

全ブースを周っての所感としては、「AIを使えば何でもできる」という一言で表現できると思いました。そのため、本当にたくさんのブースがあり1つ1つの展示に勢いも感じられました。「文章を読み取る」「分類する」「文章を作成する」「文章からデザインを作成する」「デザインから文章を作成する」「データを解析する」など、ひと昔前は人手と時間をかけておこなっていた作業が一瞬でできて本当に驚きです。ただ、「何でもできる」というAIの特徴「どのように使うか」というのが一番難しいと感じました。AIを使うこと自体が目的になっては本末転倒で、「目的を達成するために、なぜAIを使うのか。AIを使うことによって何を達成できるのか。また、達成した先にはどのようなメリットがあるのか。その他の手段はないのか」など、しっかりとデザイン・設計した上でAIを使うことが何より重要と感じました。このしっかりとしたデザイン設計こそが成功の鍵ではないかと考えています。

そして大切なのは、「当たり前の基本」を大切にしながら「先端技術を導入」していくこと。私の言う当たり前とは、しっかりと守られるルール(仕組み)と人材育成です。これらを蔑ろにして技術に目を奪われてしまうと、AIを使うのではなく、AIに使われることになってしまいます。展示会ではここで表現しきれない多くの情報を収集しています。どのツールを選択したら良いかわからない、コンサルタントにアドバイスを欲しいなどリクエストがありましたら、無料でご相談に乗らせて頂きます当事務所のHPにも是非お越しください。

増田 祐一
技術士(農業部門 農業・食品)
労働衛生コンサルタント(保健衛生)

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